LOST ウェイトターン制TRPG


聖域の守護者イメージ

聖域の守護者 31.覚悟

 別室でアンリに対してちょっとした情報伝達を行った後に、再び全員でプレイを再開しました。その内容はネタバレになるのでまた後ほど。

GM:戦いが終わり、黒い光が広がりました。しかし特に何事もなかったようです。(……もちろん、そんなわけないけど(笑))。あなたたちの耳にこの部屋に入ったときに聞こえた女性の声が再び聞こえてきました。「汝、守護者の力を欲するか?」

ウィル:全員に聞こえるんですか?

GM:この部屋にいる全員に聞こえます。

アンリ:わたしは守護者にはなれないので口を閉じました。

GM:マスターノートにはこれからの問いにはPCひとりひとりに一問ずつ答えてもらったほうが良いと書かれているのでそうしましょうか。

一同:(笑)。

GM:では力を欲するかの問いはクラウスに答えてもらいましょう。

クラウス:そうですね。「私ごときが力の持ち主として相応しいかはわかりませんがね」と呟いて、静かにうなずきました。それは自分が守りたいと願っている人をこの力で守れるかもしれないという思いと、その力を見てみたいという好奇心を含んだ答えです。

GM:クラウスが肯定の意思を示すと、声が響きます。「人は心弱きもの。己が器を超える力を得れば闇に堕ちる。汝、闇を討ち払う強き心を持つ者か?」。これはゼオルに答えてもらいましょう。

ゼオル:「手に入れた力を活かせるかどうかは人次第だろ。強き心があればその力を活かせるし、弱き心であればその力はまったく活かせない……」

 しばらく沈黙。

GM:「では、汝は強き心を持つ者か?」

アンリ:アンリの目はゼオルの方へ――。

ゼオル:ゼオルが少し伏し目がちになったような感じがしました。「ああ! 持っている……」

GM:はい。声は続きます。「人は意志の弱きもの。犠牲を前にその歩みを止める。汝、犠牲を乗り越え、尚も歩みを止めずに進む意志を持つ者か?」

クラウス:「犠牲を……」。ウィルをじっと見つめました。

 長い沈黙。考え込むウィル。全員の視線がウィルに向けられます。

ウィル:(独り言のように)違う違う、俺は熱血漢。熱血漢だ。

一同:(笑)。

ゼオル:このところ、まじめなシーンが多かったから(笑)。

ウィル:俺は絵本の中の英雄像に憧れているんだからな。うん。「人は誰もが傷つくことを恐れる。ときに安易な力に流されてしまうこともあるだろう。しかし、俺は自分が守りたいと思うものを守るため、そして、自らの信念を貫くためにアンリを頼りここまでやってきた。もし俺に守護者としての資格があるのなら、いかなる犠牲をも問わず守護者としての役目をまっとうしてみせる!」

GM:「よろしい。では汝らに守護者たる力を与えよう」と言って声が消えていきました。静寂の中であなたたちだけが残されました。

アンリ:「ありがとう。今の言葉を忘れないでくださいね」

ウィル:「……とは言ったものの、力が与えられたのか?」と言ってアンリを見ます。

ゼオル:「何か変わったことはあるか? アンリは?」

アンリ:「わたしには……。でも、変わったはずです。だって、ここに来るまでと今のあなたたちでは間違いなく変わりましたよね?」

クラウス:「たしかに」。(しばらく間を置いて)「こんな後になってですみませんが、もしかしたら先ほどの黒い光は私たちにとりつこうとしたのかも知れませんね。悪魔に魂を乗っ取られたものは二度と人に戻れなくなると聞きます。私は先ほどの黒い光にとらわれている自覚はありませんが……ウィル、もし私がおかしなことをしたらそのときは止めてください」

ウィル:「何を言ってるんだクラウス。お前がそんなことするはずないだろ。だが……」真面目な顔つきになって「もし、お前が変なことをしそうになったら、俺が全力で止めてやるさ」

クラウス:「ありがとう。ウィルが同じことをしたら私が全力で止めますので。ゼオルもですよ?」

ゼオル:「お互いにな」

クラウス:「私は守護者が三人で良かったと思います。私一人だったら逃げ出していたかも知れませんからね」

ウィル:「それは俺だって同じさ。ゼオル、クラウス。お前たちが居てくれなければ俺はここまで来ることはできなかっただろう」

アンリ:安堵の笑みを浮かべてその様子を見ています。

ゼオル:「試練はこれで終わりか?」

アンリ:「終わりだと思います」

ゼオル:「間違いないな?」

ウィル&クラウス:(笑)。

アンリ:凄く困った顔をして「わかりません。ただ、私から見ればこの試練は間違いなくあなたたちを守護者としたと思います」

ウィル:GM、この部屋はこれで行き止まりですか?

GM:そのように見えますよ。

アンリ:「では、長老のところに戻りましょうか」

クラウス:「ええ、そうしましょう」

 試練が終わったと判断し、アンリが遺跡を出ようと皆に促したところで……。

ゼオル:「いや、まだだ!」

ウィル&クラウス:え?

ゼオル:「まだ俺の目的は達していない!」

ウィル:何を言い出すの?

ゼオル:「みんな……ひとつ話を聞いてくれ……」

GM:(よりによってこのタイミングとは……)まさに予想外。




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