LOST ウェイトターン制TRPG


聖域の守護者イメージ

聖域の守護者 36.解放

 深淵の力をもって強硬派の本陣を攻めることを決めたウィルたち。豪雨の中旅立った日から、ゆっくりと休む暇もなく様々なことを経験してきた彼らの聖域での戦いのも、いよいよ最終局面を迎えようとしていました。

 進軍用の勇ましいBGM。

GM:さて、あなたたちはアルトとアインの手引きにより敵に見つからないルートを通り、集落に入る直前までたどり着きました。アルトたちは「俺たちの役目はここまでだ。あとは頼んだ」と言ってその場から離れていきます。

一同:お仕事お疲れさまでした!

GM:あなたたちは現在、あと三十メートルも進めば集落の中に入るところまで来ており、視界に集落の中を歩いている強硬派の兵士たちの姿をおさめることができます。集落の中央には長老の住んでいた一番大きな建屋があり、アルトたちから聞いた情報では、そこに大公たちが居るようです。

アンリ:集落の中に乗り物とかもあるんですか?

GM:外界人が連れてきた馬が数頭いるようです。

アンリ:それだけ確認できればいいです。「では、参りましょうか」

クラウス:「アンリ。今回の戦いですべてのことがうまくいけば、我々の望んでいる結果が待っているかもしれませんが、外界のすべての人間が我々と同じ考えを持っているというわけではありません。色んな考えの者たちが居ます。この先、もしかしたらあなたを傷つけるような者がいっぱいあらわれるかもしれない。しかし、外界には我々のような者も居ることを忘れないでください」

アンリ:「なら、一度だけお話をして……それからでもよろしいですね?」

クラウス:「君がそう望むのならそれが一番正しいと思う」

 このクラウスとアンリのやり取りは、録音したものを聞きなおしてもどういった意味で互いに意思疎通ができていたのかうまく理解できません。おそらくクラウスは聖域での戦いが終わった後に予想される外界人のクローネの民に対する反応についてあらかじめフォローしたのだと思いますが、それに対するアンリの発言はこの戦いにおいて外界人に戦闘の意思があるかを尋ねてから、敵意ある者だけ排除するのであれば良いのですねと確認しているようであり、話が噛み合ってないように聞こえます。また、それに対するクラウスの返答がさらに混乱を誘います。

 内容は理解できなかったのですが、戦闘時の処理のためのプレイヤー発言以外は可能な限りセッション中の発言内容をそのまま掲載するという原則にのっとり、そのまま掲載しています。

アンリ:では、アンリは深淵の力を解放しました。ガチャンッ!

GM:(ガチャンッ!って、ロボットもののリミット解除じゃあるまいし(笑))。ソーサラー技能を10レベルにしてください。同時に瞑想による精神点の消費がなくなりました。魔法の使い手であるクラウスは、アンリからマナが溢れ出していることを感じ取れます。

クラウス:「ものすごいマナですね」

GM:まるでスーパーサイヤ人なみのオーラがでています。

アンリ:髪が金色になって逆立ったアンリ(笑)。まず、“アクティブ・マナ”を唱えます。(ころころ)。

クラウス:「この空間は!」

GM:“アクティブ・マナ”の効果で、彼女を中心として周囲のマナが活性化されて倍増します。瞑想で得られるウェイトあたりのマナが二倍になりました。ちなみに、集落内にいる兵士は十人単位で固まっているものと考えてください。アンリの使える範囲魔法であれば、十人単位のまとまり全員を効果範囲内に収めることができます。あと、小さな建屋程度であれば同じく範囲魔法の効果範囲内に収めるることができます。

アンリ:了解。続いて“フォース・フィールド”を自分に掛けます。(ころころ)。

クラウス:キモい(笑)。

アンリ:あと、三人に対して“バルキリー・ブレッシング”を掛けます。(ころころ)。

GM:(……ん?)。それは、“バルキリー・ブレッシング”の魔法が発動した直後に守護者の力によって無効化されました。

ウィル:ああ、そうですよね。

ゼオル:あっ、守護者に対しての魔法は全部無効化されるのか。被害に遭わないではなく、影響をまったく受けないんですね。

アンリ:あー。……そうなの?

GM:はい、アンリが深淵の力として得た能力については、守護者に一切効果を発揮しません。

ウィル:アンリの回復魔法は受けられるんですか?

GM:それは彼女本来の力であって深淵の力ではないので大丈夫です。つまり守護者が授かった力というのは深淵の力に対するキャンセレーション能力ということです。

ゼオル:なるほど。

アンリ:そうなのかぁ……。なるほど、そういう意味なのね。わかりました。

クラウス:でも、アンリ自身には“バルキリー・ブレッシング”を掛けられるのでは?

GM:はい、それは可能です。

クラウス:“フォース・フィールド”の上から“バルキリー・ブレッシング”って、どれだけ堅いんですか。

ゼオル:これは、アンリを守るより、吹き飛ばし攻撃とかで敵を一箇所にまとめるように行動したほうがいいんじゃ?(笑)

アンリ:では、自分に“バルキリー・ブレッシング”を掛けます。(ころころ)。それと、既存の魔法は全員に掛けられるんですね。“ブレス”を掛けます。(ころころ)。その後に“シャープネス”をウィルとゼオルに掛けます。(ころころ×2)。

クラウス:最後の詠唱にあわせてウィルに“プロテクション”とゼオルに“シャドウ・ボディ”、ウィルとゼオルに“ファイア・ウェポン”を掛けておきます。

GM:(唱えられた補助魔法を戦闘処理用のノートパソコンに登録して)今のすべての魔法を詠唱するので30ウェイトを消費したことにします。ですので、すべての魔法の残り効果時間は60ウェイトとして処理します。

 ここの処理は安易過ぎました。このときの処理のようにすべての補助魔法を同時に唱えたものとして扱うと、効果時間切れのタイミングも同時にきてしまうことになります。そもそも、いかに深淵の力を解放したアンリといえども、瞑想なしに魔法を唱えていたら精神力がいくらあっても足りませんから、瞑想して魔法を唱えているはずです。その場合、ここで挙げた魔法をすべて唱えていたら、30ウェイトでは到底間に合いません。

 アンリが深淵の力を解放したことで、敵データの中身を知っているGMにとってこの後の戦闘が消化試合となってしまい、処理が雑になってしまいました。こういった雑な処理はプレイヤーのモチベーションを下げかねないことですので、今後繰り返さないように反省しなくてはなりません。

アンリ:「では、参りましょうか」。進軍。

GM:あなたたちが普通に集落の中に進んでくるのであれば、兵士たちがその存在に気がつきました。「何者だ! 聖域の民か!?」。この時点ではまだ戦闘とはせずにイベントとして処理します。

ウィル:「聖域をみだりに荒らす者たちよ、今すぐここを去れ!」と、まるでクローネの民のように言います。

GM:そうすると、十数人の兵士の中で唯一甲冑をつけている騎士があなたたち四人を見て、「この状況で、気でも狂っているのか? 馬鹿めッ! お前たち、掛かれッ!」と言って他の兵士たちに号令を掛けます。その号令にしたがって兵士たちが「うぉーっ!」と声をあげて襲い掛かってきました。

アンリ:それを直前まで引き付けて“メテオ・ストライク”を打ち込みます。(ころころ)。

GM:そうすると、突如上空に現れた隕石が地上に落下し、その隕石の落下の衝撃で発生した爆発が木々や人々をなぎ倒しました。落ちた場所の周囲三十メートル半径には何も残されていません。その場から離れたところにいた強硬派の兵士たちもその爆音に気がつき、何ごとかと思い、「なんだ? なんだ?」と言って集まってきます。そんな中で先ほど兵士たちに命令を下した騎士だけが「こ、これはッ! まさか、話に聞いていた……」と声を発しながら後ずさりしています。

アンリ:「レイフィールド王国の者たちよ。直ちにこの地より立ち去るのです。さもなくばクローディアの力があなたたちを焼き滅ぼすでしょう」

GM:そのクローディアの力という言葉を聞いて、その場に集まってきていた騎士たちは、歩み寄る足を止めました。しかし、その他の兵士たちはあなたたちに向かって襲い掛かってきます。騎士たちは「馬鹿、よせッ!」と止めようとするのですが……。

アンリ:では、再び“メテオ・ストライク”。(ころころ)。

GM:その一撃によって、近くまでよってきていた兵士たちが一網打尽にされ、そこでようやく残りの者たちも状況を理解して、「ば、化け物だ!」と言って散開していきます。一方その頃、集落の中央付近にある建屋では……。

 GMがサディアスベネット伯オルコット大公のカードを場に提示する。

GM(サディアス):「なんだあの音は!?」

GM(ベネット):「まさか……深淵の力?」

GM:中央の建屋の扉が開いて、中からサディアスたちが姿をあらわします。

クラウス:お待ちしておりました。

 GMが戦闘フィールドに敵ユニットの駒を並べ、それに次いでプレイヤーたちが自分たちの駒を並べる。

GM:ブラック・ナイトを引き連れたサディアスが走りよってきて辺りを見渡し、状況を確認します。そして地面に大きな二つの穴が開いているのを見つけて、「こ、これが深淵の力!?」と言って、一度あなたたちに目を向けてから背後にいるベネット伯を振り返りました。

GM(サディアス):「ベネット伯、話が違うぞ!」

GM(ベネット):「安心しろ。計画通り、深淵の力は封じ込める」と言ってベネットはゼオルを見ました。

ゼオル:ゴメン……ゴメンよ……。

一同:(笑)。

GM(ベネット):「それより貴様は自分の務めとして、他の奴らを何とかして見せろ。大公の御前だ。腕も鳴るだろう?」と言ってベネットはサディアスをけしかけます。

クラウス:可哀相だよぉ(笑)。

GM(サディアス):「その言葉、信じるぞ……」

クラウス:騙されています!(笑)

ゼオル:黙ってなきゃ駄目かな? 黙ってなきゃ駄目なのかな?

GM:サディアスは舌打ちすると、あなたたちを睨みつけました。その奥でベネット伯はゼオルに目を向けると「……さて、裏切りの騎士はどう動く?」と呟きました。

クラウス:もう結論は出てるんですけどね(笑)。

ウィル:裏切ったのか、表がえったのか……。

ゼオル:すでに事後です。

 ベネット伯にけしかけられ、サディアス率いる強硬派騎士軍団がウィルたちの前に姿を見せます。頼みの綱である強硬派間者のゼオルもすでに寝返ってしまい、敗北フラグしか見えない哀愁ただようサディアスの姿にプレイヤーから同情の念がよせられます。頑張れサディアス! 負けるなサディアス! 皆、サディアスが大好きさ!(合掌)




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