LOST ウェイトターン制TRPG


聖域の守護者イメージ

聖域の守護者 余談:第5章

【35.作戦】より

「裏で糸を引いていたのはベネット伯」

 ゼオルにはセッション開始直前に、ベネット伯との関係を口頭で説明していました。そこでは、ベネット伯はゼオルが騎士養成学校に通ってる頃から目に留めていたということ、ベネット伯はプライベートではファーストネームで呼んでくれと言うほど気さくに接してくれていたこと、あまつさえ家族を交えた食事にゲストとして招いたりしてくれていること……などなど、ゼオルに対して身分を気にせず、いかに良くしてくれていたかを伝えてありました。

 また、オルコット大公がギルモア王国からの甘言に惑わされ、穏健派にくみしてギルモア王国との和平条約を率先して締結させようとしたときに、このままではレイフィールド王国がギルモア王国によって侵食されてしまうと警戒し、それを阻止するためにオルコット大公を懐柔し、ギルモア王国に対抗するために聖域に眠る神の遺産を手に入れようと画策しているということも、包み隠さず話しました。

 そんなベネット伯に対してこのゼオルの仕打ち(笑)。

「御子と巫女」

 御子が誰なのかを強硬派に悟らせまいとして、クラウスが女性全員に御子の証である痣を刻もうと冗談を言うシーンですが、「御子」は「巫女」ではなく女性とは限りません。そして、プレイヤーたちが「御子」を「巫女」と勘違いしていたとなると、物語の背景が見えていないということになります。

 今回のシナリオは三段構造になっています。それぞれの構造がどんな内容だったのか、詳しくここで書いてしまうとリプレイを読み解く楽しみが無くなってしまうので控えておきますが、一番簡単な一段目の内容がゼオルの裏切りやアンリの葛藤に代表される、各PCの物語です。セッション終了後に行った雑談において、プレイヤーたちが二段目の大まかなところを誤解を含みながらもあるていど認識していることが確認できましたが、三段目についてはまったくわかっていなかったようでした。

 プレイヤーからは、わたしのセッションがわかりやすいとの感想をいただき、それはありがたい評価なのですが、実はすべてがわかりやすいというわけではなく、わかっている部分のみで話が成立しているというだけですね。

「アンリの狡さと怖さ」

 オルコット大公とベネット伯を討とうとゼオルとクラウスが盛り上がり、では実際にどんな作戦で行こうかと考えようとしたところで、アンリは戦い方を守護者三人に委ねます。深淵の力を使うために守護者の試練を受けに行ったのですから、深淵の力を使うことは確定していたはずなのに、ここに来てあらためてそれを守護者に決定させようとするあたり、プレイヤー的にもPC的にも良い意味でズルくて上手いですね。ニヤニヤが止まりません(笑)。

 そしてすかさず、一度の戦いですべてが解決するのですよね?と追撃。どんな問題でも刻々と変化していくのですから、完全に解決することなど不可能です。すなわち、これは自分が居なくなった後もあなたたちが責任を持って問題解決に当たってくださいという使命の強要に違いありません。深淵の力を使う最終判断をウィルたちが下し、間接的にであってもアンリを死なせることになれば、騎士道を掲げるウィルやゼオルはこの使命を全うしないわけにはいかないでしょう。アンリ……恐ろしい子(笑)。

 しかし、このシーンではウィルが勢いをなくしており、代わってクラウスが現実的な答えを返してそれを拒否。ウィルが答えていたら、まずこうは言わなかったでしょう。たとえ現実的な答えを返したとしても、ウィルならそのあとに「だが、俺がなんとかしてみせる」といった類の言葉を付け加えてしまったはずです。そんなクラウスの答えに不安を感じたのか、アンリは自分の目で外界を見に行くと言い出します。GMもアンリが聖域を出て外界に行く展開はあらかじめ想定していましたが、それは純粋な外界への好奇心や憧れが動機であって、今回のように外界の善し悪しを見定めるために……といったものではありませんでした。たった三つの台詞ではありますが、その中にアンリのすさまじい駆け引きや葛藤が垣間見えます。

「深淵の力を使うのか?」

 せっかく守護者として認められて、これで深淵の力を使って強硬派を一網打尽にできると思ったら、それは同時にアンリに犠牲を強いることになるということがわかってしまいます。わたしはシナリオを考えていたときに、ここでプレイヤーが大いに悩むだろうことを予想していました。しかし、そんな予想を裏切って、あっさり深淵の力の解放を前提に作戦を立てるプレイヤーたち。ウィルだけが最後まで深淵の力を使うことに抵抗してはいたのですが、ゼオルとクラウスの勢いと、アンリ自身の了解によって押し流されてしまいました。

 エルモ長老曰く、あの者たちが本当のことを知れば深淵の力の解放を止めるやもしれんと思ったが、別にそんなことはなかったぜ! ウオオオいくぞオオオ!

「ウィルとクラウスの逆転」

 最後の決戦の作戦を考えるシーンでは、ウィルとクラウスのキャラクター性が逆転しているような印象を受けます。このシーンでは、視野を広くもって慎重に行動しようとする押しの弱いウィルに対して、目先の目的に対して一直線に行動しようとする強引なクラウスとなっています。

 ウィルの、視野が広がったことでこれまで見えなかったものが見えてきて苦悩するといった流れは、キャラクターの成長として良い変化ですが、クラウスの方は連日のセッションで集中力が低下してきていたようですね。キャラクター発言とプレイヤー発言の使い分け自体が上手くできなくなってきていました。ここまでたびたび細かい気遣いを見せ、参謀役としての舵取りを行ってくれていたクラウスですが、さすがに二日にわたるセッションの後半ともなると、キャラクター性を維持するのもたいへんだったことでしょう。

「GMの想定していた作戦」

 強硬派鎮圧のための作戦は数多に考え付くかと思いますが、一例として、セッション中に得られた情報をまとめた以下のような作戦を紹介します。これにシステム的観点からの作戦を組み合わせれば勝算が見えてくるはずです。

 まず、「密会」などのシーンで強硬派の戦力の情報が得られます。その戦力は主に傭兵で構成されており、さらにその傭兵たちは強硬派の活動を表沙汰にしないようにと、地方から少人数ずつ集められています。これでは、一人ひとりの顔と名前、装備を細かく管理できているとは思えません。同じく「密会」などのシーンから強硬派のほとんどの兵士がラージ・シールドを装備していることがわかります。これら二つの情報から、敵傭兵の装備を奪い、強硬派の内部に潜り込むという作戦が立てられます。

 強硬派の間者であったゼオルという存在も大きな武器となります。セッション中にクラウスも考え付いていましたが、ゼオルがアンリをベネット伯のもとまで拉致するという隠れ蓑を使うことで、二人がオルコット大公のそばまでたどり着くことは難しくないでしょう。また、ゼオルの所有していた毒薬ブラッディ・アップルをウィルとゼオルとアルトの三人で使えば、サディアスやブラック・ナイトを無力化することも可能だったでしょう。

 クローネの戦士たちに協力を仰いで、陽動をかけることもできたはずです。レンジャー技能を所有するクローネの戦士たちは陽動戦術を取るにはこれ以上ない人員でしょう。強硬派のトップだけと戦うためのお膳立てにはぴったりです。

 そして、最後に、強硬派の主戦力であるサディアスとブラック・ナイトは、どちらもオルコット大公の子飼いの騎士であり、主人の命令に逆らえない存在です。サディアスはオルコット大公に対する忠誠心だけでなく、自分の父親の立場上オルコット大公に逆らえません。ブラック・ナイトたちは王国騎士の叙勲を受けているわけではないのでオルコット大公の庇護下になければ身分が保証されません。そのためオルコット大公さえ人質に取れば、それだけでベネット伯を除く強硬派を鎮圧できる可能性があります。

【37.圧倒】より

「サディアスはヒーロー的?」

 ゼオルがなぜサディアスがヒーロー的なのかと問いますが、実際ヒーロー的であるかは疑問です。登場シーンや初回の戦闘シーンなど、サディアスの言動を考えればライバルキャラとしての立ち位置の方がしっくりくると思います。ただ、サディアスがステレオタイプの騎士だということがゼオルにそう思わせたゆえんかもしれません。

 もともとサディアスはウィルが嫌った騎士養成学校で作り上げられる騎士の象徴としてデザインしました。忠義に厚く、学徳、礼節、気品を備え、名誉と正義を重んじ、そして敵対するものを完全悪と定めて自己の正義を主張する。つまり、ウィルの対存在です。ウィルはサディアスを倒すことで、初めて自分の描く騎士像をただの幻影から実像としてとらえられるまでに成長できるという流れを想定していました。

【38.鎮圧】より

「サディアスの剣と盾」

 サディアスがオルコット大公から授かった魔法の剣と盾ですが、それぞれ次のような効果を秘めていました。まず、剣ですが、こちらは常時“アイス・ウェポン”が発動しており、打撃力が+10となっています。また、盾のほうですが、こちらは常時“マインド・スキン”が発動しており、精神抵抗力に+4のボーナスが発生、さらに魔法ダメージ減少に+4のボーナスを受けています。この盾のおかげでアンリの深淵の力に何とか耐えることができていたのでした。

【39.交渉】より

「お前らがギルモア王国を選ぶというのなら、そのときは……」

 ベネット伯はアンリに対し遺産の貸し出しを交渉する場面で、もし自分たちに協力してくれないようであれば……といって、剣の柄に手をかけました。仮にここでアンリがベネット伯に対して拒絶を示していたら、その次のベネット伯の行動は全力逃亡でした(笑)。そのためのにベネット伯は身軽な格好をしていたのです。最悪、ウィルたちに囲まれたとしても、大剣で吹き飛ばし攻撃をしかけて突破するつもりでした。自分と妻のことが最優先で、国はその次というベネット伯の優先順位の割り切りが表れています。

「ゼオルの意見を求めるアンリ」

 クラウスが聖域に神の遺産を残しておくことはあまり良いことではないと発言したことに対して、アンリは「その気持ちは、ゼオル……あなたたちも同じ?」とゼオルに対して問いかけます。これまでの流れを考えれば、穏健派三人組のリーダーはウィルであると考えるのが普通ですが、あえてゼオルを指名しています。別の項でも触れましたが、アンリは穏健派三人組の中でゼオルの名前しか呼んでいないのです。ゼオルが一番最初に助けに飛び込んできてくれたからか、長身で褐色の肌の灰髪だったからか、穏健派三人組の中で年長者だったからか、ただ一人料理を嫌な顔ひとつせずに食べたからか、アルヴィを助けてくれたからか、デーモンに一撃でのされるくらい頼りなかったからか、心の弱さを露土する姿を見せたからか……とにかく、アンリがゼオルを特別視していたことは間違いないでしょう。

 結局アンリの問いに対してゼオルが答えることはありませんでしたが、アンリとゼオルが直接会話していたらどんな内容になっていたのか、見てみたかったものです。案外、ゼオルの言うことに対してはしおらしくしたがっていたのかもしれませんね。

「ゼオルはなぜ騎士になれなかったのか」

 聖域での戦いを終えたゼオルに対して、ベネット伯は「なぜ騎士になれなかったのかわかるか?」と問います。ここでゼオルは解放奴隷の子であるからと答えてしまいますが、できればあの心の試練でのウィルとの見事なやり取りの後にこの台詞は聞きたくありませんでした。騎士としての力と精神のあり方についてあれだけの対話を行ったのですから、ここははっきりと剣闘士の技にすがっていた自分に騎士としての適正がなかったことを認めて欲しかったところです。

 当然、ゼオルが「解放奴隷の子供だから騎士になれなかったんだ」と答えることは考えられる選択肢のひとつであり、その場合にはベネット伯は自分の部下になるようには誘いをかけない予定でしたが、懺悔のシーンでの頑張りを評価して急遽ベネット伯には寛容になってもらいました。しかし、策士であるベネット伯のことですから、腹の中では何を考えていたのやら……。

「深淵の力の代償」

 深淵の力を使った戦いが終了したあと、アンリはその代償を支払うこととなります。その代償とは深淵に支配され、自我を失い、破壊の限りを尽くすということ。精神抵抗判定に成功することで自我を保っていられるのですが、深淵の力を使って1ゾロを出すか、一日経過するごとに目標値がひとつずつ高くなっていきます。精神抵抗判定に失敗すると深淵の力を無差別に発動させて、再度精神抵抗を行う……ということを繰り返すことになります。

 セッションの流れ次第では、クローネの集落壊滅とか、レイフィールド国王崩御とか、ギルモア王国陥落まで想定していました。

【40.交錯】より

「初代導師クラウス」

 今回のセッションをプレイしたことによってLOSTの年代記に正式に記されることとなった出来事のひとつ。それが初代導師クラウスの就任です。システムのオフィシャル世界を用いているセッションではこういったプレイヤーへのご褒美をあげづらいものですが、LOSTはわたしの考えている世界なので自由に歴史にPCの名を刻めます。

 事件を起こすのはGM。歴史を作るのはプレイヤー。そうありたいものです。

「足早に聖域を離れるアンリ」

 深淵の力の代償によってあまり時間が残されていないアンリが足早に聖域を離れることは理解できます。しかし、それ以上にこのシーンのアンリは焦っているように感じられました。次のシーンに移ると、すでにアンリたちは聖域から旅立っているわけですが、これは少し不自然です。あるべきシーンがみあたりません。つまり、アルトやアルヴィとのお別れのシーンです。わたしがアンリのプレイヤーであったなら、こんな美味しいシーンを省略するなんて勿体無いことはしません。では、どうしてそのシーンがないかと考えれば、つまりそんなシーンは最初からなかったからだと気がつきます。

 情の絡む人間とのお別れはしたくない。自分の弱い部分に触れられ、潔く役目を全うできなくなるのは避けたい。そうアンリが考えたとすれば合点がいきます。アルトは先代の守護者でしたので察していたでしょうが、アンリはエルモ長老を除くアルヴィなど他のクローネの民には何も伝えずにある日突然姿を消したはずです。

【41.帰還】より

「ラストシーン」

 いよいよ聖域の守護者のラストシーンです。ここのシーンは沈黙が多く、その沈黙によって状況や心情が描写されるといった、その場に居ないと伝わらない空気が漂っていたので、他のシーンと書き方を変えて、沈黙の間にわたしなりの追加描写を加えてあります。もちろんト書き以外は無加工です。

 このシーンにおいてGMは、アンリが暴走を開始したことを説明して以降、物語の終わりを告げるまで一切言葉を発していません。プレイヤーだけでセッションが進む様を眺めていられるというのは、GM冥利に尽きます。

「クラウスが持っていたマントのようなもの」

 クラウスが持っていないはずのアイテムを持っていたシリーズ、第四段。完全にネタ化しましたがこれがラストです(笑)。ウィルはマントを装備していたのですが、クラウスの所持アイテムにその代わりになりそうなものは……。所持金を渡されたセッションでは自分の持ち物に気をつけましょう。

 ちなみに、普段、単発シナリオを行うときには所持金は用いず、PCには常識の範囲内で自由にアイテムを持たせて良いということにしています。では、なぜ聖域の守護者では所持金が決められているかというと、それはウィルとゼオルの貧富の差を表現するためなのでした。ウィルが高品質の武具に身を包んでいるのに対して、ゼオルは通常の武具も満足にそろえることができません。その結果、クラウスがとばっちりを受けた形となりました(笑)。

「無言のウィル」

 後日談なのですが、ウィルのプレイヤーがこのセッションを行うより随分以前から別の場所で次のようなことを語っていたことを目にしました。「犠牲を伴うような重いセッションは深く考えさせられるので良いのだが、それと共にそういうセッションに参加したあとは憂鬱になってしまう」。

 事前にそれに気がついていれば、もう少し救いのある展開に誘導していたのですが、よりによって……まったくよりによって、介錯人をさせてしまうことになろうとは。セッション終了後はさぞモヤモヤした気持ちにさせてしまったことでしょう。本当にすみませんでした。

 このシナリオでは本道こそ犠牲を必要とする流れでしたが、それを回避するルートも複数存在していますので、どうすれば犠牲を回避できたのか、そしてこの戦いの根底にあるものはなんだったのかを考えてもらえると幸いです。

 (補足)つい誤解していましたが、ウィルのプレイヤーが前述の発言をしたのはセッション後のことでした。そして正しい言い回しは「セッション後に憂鬱になることもあるが、その分、キャラクターとしての『選択』に重みがある」というものでした。どちらにしても聖域の守護者が良い意味でウィルのプレイヤーの中に残っていてくれることを願っています。

「本当の勝利者は?」

 戦闘ではPC側が全戦全勝したにも関わらず完全勝利というわけにはいかないのがこのセッションの妙ではないでしょうか。たしかに戦術レベルでの勝利は収めましたが、はたして深淵の力を解放してまで得た勝利は誰のものだったのでしょうか? 神の遺産がクローネの民から人間に貸し出されることは誰が望んでいた結末だったのでしょうか? もちろん、完全勝利といえるエンディングも考えてあります。そのエンディングを迎えるためには、能動的に情報を集め、それ相応の危険を冒す必要がありますが。

「反省会」

 昨今では、セッション終了後の反省会が敬遠される傾向にあるそうですが、このセッションではもちろん行いました。そして、皆がどのような考えで行動していたのかや、どのシーンが印象に残っているか、どうすればもっと上手く演出できていたかなど、とても有意義な話が聞けました。そもそもセッションを上手に進められる人たちであれば、反省会という自分たちの意見を交換する場を円滑に進められるのも当然のことですね。シナリオはセッションを重ねるたびに洗練されていきます。

 ちなみに、最も印象深かったのは、アンリのプレイヤーが「死にたくないって言えなかった」と悔やんでいたことです。

「あとがきみたいなもの」

 そんなこんなで聖域の守護者に関する余談もこれでおしまいです。こうやってリプレイに書き起こすと、良かったところと悪かったところが浮き彫りになってきますね。セッション中は円滑に進めるために細部の都合の悪い部分はスルーしてしまったり、感情的になっていて矛盾に気がつかなかったり、気がついていても時間が過ぎることで忘れてしまったりするものですが、落ち着いて読み直すとそれらの部分にあらためて気づくことができて、とても参考になります。今回は加工していないリプレイであるため、なおさらでしょう。その意味でも加工しなくて大正解だったと思います。

 これまでもリプレイを書き起こせる機会はあったのですが、今回こうやって実際に書き起こしたのは、一重にこのときのセッション参加者のプレイ内容がとても良いものだったからです。ストーリー展開が最上であったとは言いません。もっと良い選択を選び、もっと見栄えのする物語にする道もあったはずです。しかし、それ以上に、今回わたしがこのリプレイを読んだ人に伝えたかった「与えられた情報に対して各プレイヤーがどう考えて、どういう発言をして物語を作っていったのか、またそれに対してGMがどのように対応したのかという細部」に関してはこれ以上ないくらいに詰め込まれたセッションだったと思います。そのため、余談にはわたしの推測によるプレイヤーの思考を多く取り上げています。

 最後になりましたが、各参加者へのメッセージで締めたいと思います。

 ウィル。セッションでは珍しい淀みない長台詞、お見事でした。物語のなかで徐々に成長を遂げていっている姿をきちんと見せられているところも素晴らしいです。あなたを主人公に選んで正解でした。

 ゼオル。アンリと並んで難しい役どころをおつかれさまでした。試練の間での告白はとても良いシーンでした。見ている側にもゼオルのウィルに対する憧れと嫉妬、友情の念が伝わってきて、人間らしさを感じさせる味のあるキャラクターになったと思います。

 クラウス。お地蔵さんになりがちな傍観者の立ち位置であったにも関わらず、魔法使いらしさを保ったまま存在感を発揮していたのはさすがでした。ウィルが迷ったときにその都度クラウスに助けを求めていたことが、クラウスなら何とかしてくれると信頼されていたことの証明でしょう。

 アンリ。表面上は個性の薄いキャラクターに見えつつも、実は噛めば噛むほど奥の方に隠された味がでてくるというのが良いですね。他の参加者を信頼しないと挑めないキャラクターです。熟練プレイヤーに囲まれたセッションを本当に楽しんでいたんですね。ぜひ同じプレイヤーとしても掛け合いしたいところです。

 あと、間接的にではあるのですがリプレイを書き起こすきっかけをくれたエンジュさんにも感謝です。楽しんでもらえたでしょうか? そうであれば嬉しいのですが。

 それでは、参加者の方も、そうでない方も……末永く良い冒険をお楽しみください。




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